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アメリカ企業の依頼に焦ったクリエイターが調べたことまとめ【報酬・事務処理・送金】

これは、初めてアメリカ企業から依頼DMを受けて右往左往した私が調べたことを備忘録的にまとめたものです。同じ立場で困っているクリエイター・アーティストさんの参考になれば嬉しいです。

♪♪♪ この記事のBGM ♪♪♪
せっかくですので、このご依頼で作った曲を聴きながらお読みください。
※スマホの場合 Listen in Browser がオススメです

音楽家団体が作曲依頼の基準額を記した資料がある

依頼料がクリエイターや依頼者を悩ませる問題なのは世界共通です。調べたら音楽家団体(ユニオン)や市場調査が情報を公開していました。

中でも複数の依頼ケースを網羅したものが、米アーティスト団体が発行する、ケースごとの作曲依頼料の基準額を示した資料「Commissioning Music: A Basic Guide」です。

ただ、こちらの論文(p.3-4)にあるように、実情はより低いことが多いとのことです。あくまでユニオンが掲げる金額として捉えると良いでしょう。

作曲以外のものも各団体やフォーラムで情報を得られます。

  • 〇〇 commission fee
  • 〇〇 commission pricing

などで検索してみてください。

契約書の英語はGoogle翻訳が意外と優秀

契約書が送られてくることになり戦々恐々としていましたが、実際に来たものをGoogle翻訳にかけてみると…なんといつになく美しい文章が!

契約書の文章は「正式な書式と文法で」書かれており、かなり正確な翻訳を出してくれるようです。もちろん最終的には自力で読まなきゃダメなのですが、ある程度アタリをつけてくれるので労力をかなり節約できました。やり方としては、まずGoogle翻訳とDeepL翻訳の両方に入れて、双方で違っていたり不自然な部分を直していきます。具体的には

  • 長い文章はコンマやピリオドで文章を小分けにする
  • ダブルクォート(“”)で囲って動詞や説明のかかり方を整理
  • 文中の注釈は別の行に移す

こうして大体の趣旨が分かったら、原文と和訳を見比べて変なところがないか確認していきます。特に否定と肯定が逆になっていないか、否定がどこにかかっているか等はよく確認してください。
特に、DeepLはAIのせいか肯定と否定が逆になりやすいので注意しましょう。

長期的な契約や高額な契約ではアメリカの法律に詳しい弁護士さんに相談することをおすすめします。

二重課税回避のための書類「W-8BEN」にはマイナンバーを書く

アメリカ法人とお仕事するときに「W-8BEN」という書類にサインすることがあります。簡単に言えば「日本で税金払ってるならアメリカでの税金を免除するよ!」という書類です。

この中で多くの人がつまづくのが項目6の「Foreign tax identifying number(外国の税識別番号)」だと思います。税識別番号なんて聞いたことないですよね。

ここには「マイナンバー」を書きます。

え?マイナンバーこんなとこに書くものなの?と私も最初思いましたが、OECD(経済協力開発機構)が発行する国ごとの税金IDで、日本の項にTax Identification Numbersとしてしっかりマイナンバーと書いてありますので、安心して書きましょう。

海外送金をスムーズに受けるために銀行に確認する

これは楽勝と思いきや、意外な落とし穴がありました。
まず、申請書類に出てきた英語がこちら。

  • Beneficiary Details 支払を受ける人の情報
  • Beneficiary Account Number 口座番号(支店を含めることもある)
  • Beneficiary Name 氏名
  • Beneficiary Address 住所
  • Beneficiary Bank Details 支払を受ける「銀行そのもの」の情報
  • Beneficiary Bank Name 銀行名
  • Bank City (Bank State) 銀行の本店所在地

Bank Cityは支店のことではない

支店名はBranch Name。Bank Cityは「銀行の本店がどこにあるか」です。これは各銀行のウェブページに記載されている場合があります。ない場合は本店の所在市を書いて大丈夫だと思いますが、銀行に問い合わせるのが確実です。専用窓口を用意している銀行もあります。

みずほ銀行 外国送金を利用したい(被仕向送金)
三井住友銀行 海外から送金を受ける際
三菱UFJ銀行 外国送金のお受け取り

また、今回のようにBranch Nameを記載する項目がない場合はBeneficiary Account Numberに (支店番号-口座番号)という形で記入しましょう。

日本にはない銀行コードを求められる場面も

ABA アメリカ国内で銀行間のやりとりをスムーズに行うためのコード。
IBAN 欧米の銀行間のやりとりをスムーズに行うためのコード。
どちらも日本にはないので、空欄で大丈夫です。
空欄にできない場合はその旨を書きましょう。こんな感じで大丈夫です。

ABA / IBAN:  No ABA or IBAN number is assigned to Japanese banks.

SWIFT/BIC  code 世界共通の銀行コード。こちらは各銀行の海外送金ページに記載があるので確認しましょう。

SWIFTコードを入力する際に支店番号を含めたコードを求められることがありますが、一部の銀行では特定の処理を指定している場合があります。こちらも銀行に確認しましょう。

ちなみに私のケースでは上記の申請書類とは別に、最終的な手続きを専用の国際決済サービスで行いました。そちらでは

  • 氏名
  • 日本の銀行コード
  • 口座番号

といった形で項目が設定されてましたが、銀行コードの後ろに支店番号を入れないと認証されない形でした。ですので口座番号の方には支店番号を入力せずに完了し、無事に振込が行われました。

おわりに

以上が、アメリカ企業と取引をする上で戸惑って調べたことです。
個人の経験に基づくものですので違うケースも多いと思いますが、少しでも同じ境遇で困っている方の助けになれば幸いです。

Ponénné
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↓今回のご依頼で作った曲です。独占利用期間が終了したため公開しています。楽しんでいただけましたら嬉しいです。

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